アレルギー性鼻炎(花粉症)について

アレルギー性鼻炎(花粉症)について

外からの異物(抗原)に対して防御を行う物質(抗体)を作り、体をまもる働きを“免疫反応”といいます。この“免疫反応”がある決まったもの(特に体に対して本来であれば害を及ぼすものでないもの)だけに過剰におきてしまうことをアレルギーと言います。花粉症として有名なものにスギやヒノキがありますが、これもスギ、ヒノキといった特定の植物の花粉が原因となって引き起こされるアレルギー性の鼻炎です。あらゆるものがアレルギーを引き起こす原因となります。アレルギー性鼻炎の主な原因だけでも、ハウスダスト、ダニ、スギ、ヒノキ、ハンノキ、カモガヤ、ブタクサ、蛾、真菌等ありとあらゆるものが原因になり得ます。

そして、これらの抗原を体から排除するために、目のかゆみ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状が引き起こされてしまうのです。

春にはスギ・ヒノキ以外にシラカバ・ハンノキ・初夏にはカモガヤなどのイネ科植物、秋にはブタクサ・ヨモギ・カナムグラなどが原因の花粉症が見られます。また花粉症患者さんの中には果物・野菜を生でたべると口の中がかゆくなる方がおられます。これは口腔アレルギー症候群(OAS)と呼ばれます。ひどくなるとアナフィラキシーショック症状を起こすことがあるため同じ種類の果物・野菜を生で食べた時に喉に違和感、かゆみ、喉から耳にかけてのかゆみが出てくる場合は注意をしてください。シラカバ・ハンノキアレルギーの方はリンゴ、モモ、サクランボ、ヘーゼルナッツ等、スギアレルギーの方はトマト、イネ科花粉アレルギーの方はトマト、スイカ、メロン、オレンジ等に対して反応が出てくることがあります。

奈良県におけるスギ花粉飛散時期は2月中旬より4月中旬、ヒノキ花粉は3月より5月中旬まで飛散することが多いです。

花粉症の主な症状

  • 発作性のくしゃみ、鼻水、鼻づまり
  • 眼のかゆみ、充血、涙が出る、目ヤニ、目がかすむ、眩しい
  • 鼻づまりにより頭が痛い、ぼーっとする(頭重感)
  • 耳がかゆい、聞こえにくい(鼻づまりから生じる耳管機能低下、滲出性中耳炎)
  • 口呼吸により口が乾く、口内炎、鼻がつまることによる味覚低下
  • 喉が痛い、咳や痰が出る、声がかすれる
  • 顔や首筋などの皮膚に発疹が出る、皮膚がかゆい
  • まれに微熱、倦怠感 など

花粉症の対策

花粉症の症状はつらいものです。この花粉症治療の基本は、花粉を吸い込まない、浴びない、持ち込まないことです。
花粉を吸い込まないために外出時にはマスクやめがねを着用し、眼や鼻、口などから花粉が入りにくいように気を付けます(吸い込まない)。花粉が多いところにはできるだけでかけないようにします(浴びない)。帰宅時には衣類や髪の毛などに付いた花粉を払い落としてから玄関の扉を開けるようにします。家に入ったら玄関に上着をかけてからうがい、手洗い、洗顔などを行います(持ち込まない)。

花粉がない環境を作ることも有効です。部屋の中に花粉が入らないように出来るだけ窓やドアを閉め、花粉が侵入しないようにして空気清浄器を使用して空気中にまっている花粉を取り除いて部屋の中の花粉を出来る限り除去しましょう。
また、生活環境のストレス・睡眠不足・疲労などを取り除くことも大切です。

花粉症の初期療法

花粉症の方は、花粉が飛び始めたころから抗アレルギー薬を服用すると、花粉症シーズンを症状が軽く過ごすことができます。(初期療法)
以前は花粉飛散の2週間前からの内服を勧めていましたが現在は花粉飛散日または症状がした日から内服を始めていただいています。

症状がひどくなってしまった時は、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン拮抗薬や点鼻の局所ステロイド薬、エフェドリン配合錠などを症状に応じて組み合わせて使います(導入療法)。 導入療法により症状が抑えられたら良い状態を保つために、必要な薬だけを症状に合わせて使用することになります。(維持療法)。

花粉症の根治療法

抗アレルギー薬、・点鼻薬、点眼薬はアレルギーの症状を抑える治療になります。アレルギーの根治を目指す治療として免疫療法があります。免疫療法はアレルギーのもとになっているもの(アレルゲンといいます)を体に投与してアレルギー反応が起こらないようにする治療法です。100年以上前から行われている治療であり今まではアレルゲンエキスを皮下注射することで投与していたのですが近年口の中に錠剤型のアレルゲンを投与する舌下免疫療法が普及しています。治療には数年かかりますが(3~5年)免疫療法は根治を目指す治療になります。7割ぐらいの方には十分な効果を得ることはできますが残念ながら2~3割程度の方には期待していたような効果が出ないことがあります。また治療を開始する時点では効果が十分に出るかどうかは現在行われている検査ではわからないため長期間治療を続けたにもかかわらず全く効果がなかったという場合がでてきます。

一般的な薬剤のような副作用はありませんがアナフィラキシーショックなどの副作用が生じることがあります。舌下免疫療法は薬を口に入れるだけで行える治療になりますが免疫療法に精通した医師の管理下での根気強い治療が必要です。

当院で扱っている舌下免疫療法について

シダキュアはスギ花粉症の患者さんに有効であり、ミティキュアはダニアレルギー性鼻炎の方に有効です。
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